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伸張反射を走りの中で使えるようになるドリルその①

1.伸張反射を利用した走りとは何か? 2.伸張反射を走りの中で使えるようになるドリルその1
前回の記事では乗り込みと押し込みについて書きました(記事はこちら!)。 その中で「伸張反射」を利用した走りが非常に重要であるということを紹介しました。伸張反射を利用することで反発と伸展を活かした走りをすることが可能になり、ストライドとピッチを最大限高めることができます。 今回の記事では、伸張反射を走りの中で使えるようになる具体的な練習方法をいくつか紹介していこうと思います。 まずは、伸張反射を利用した走りは何か?ということを復習していきましょう。

①伸張反射を利用した走りとは何か?

伸張反射とは、筋肉が引き伸ばされることによって、力を入れる意識をしなくても素早く筋肉が収縮する現象のことを言います。この力を利用して走ることで、劇的に走りを変えることができます。この伸張反射のメリットは2つです。 1つめは意識せずとも力を発揮できるので、無駄な力の消費を抑えることができるという点です。トップスピードが維持できず後半失速してしまう選手はこの伸張反射をマスターすることでタイムが大きく改善します。 2つめは収縮スピードが速いという点です。伸張反射とは、その名の通り「反射」という筋発揮を行います。反射が働くことで意識しなくても最速で最大の瞬発力を引き出し、地面に力を伝えることができるようになります。伸張反射を利用した走り方を覚えてしまえば、地面に力を加える時間を短縮できるため、ピッチもストライドも最大限高めることができます。速く走れるようになるための「ピッチとストライドの関係性と考え方」についてより詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。 この身体の仕組みをうまく利用することで走りは格段に速くなります。 世界のトップレベルの選手はみんな、この伸張反射を利用して走っていると私は考えます。彼らは黒人だから速いというわけではなく、この伸張反射走りができるから速い、というのが私の見解です。「黒人だったら速い」というロジックだったら、白人、黄色人種より走りの遅い黒人がほとんどいないということになってしまいますからね! 伸張反射の原理や効能、実際どの様な走りなのか?などについてはこちらにまとまってるので、気になる方は是非是非こちらの記事をお読みください。

伸張反射を使った走りができるようになるドリルその1<基本編>

こんなメリットばかりある「伸張反射」ですが、体得するのは非常に長い時間とコツが必要になります。自身の経験測ではありますが、走りが「ハマった」「ハマってない」のほとんどの要因がこの伸張反射の精度に左右されていると私は考えています(原因は様々あると思いますが、何らかの原因のせいで結果的にこの伸張反射が使えなくなっているのではと考えます)。どれだけ速いトップレベルの選手でもスランプにはまるように、この伸張反射の技術は非常に高度なものになります。 そんな難しい伸張反射ですが、ピッチとストライドを伸ばしタイムを速くするためには必ず抑えておきたい技術になります。ここからは伸張反射ができるようになるためのドリルについて解説していこうと思います。今回は<基本編>ということで、特に基本的な練習を紹介したいと思います。まずはこの基本的なドリルをマスターできるように取り組んでいきましょう。

1.伸張反射ポーズの作り方(腰の高さとパワポジ作り)

伸張反射をうまく行うためにもっとも必要なこと、それは「伸張反射を最大限引き出すための姿勢」を覚えることです。まずはこの伸張反射をもっともうまく引き出すための「伸張反射ポーズ」をマスターするための練習を行います。この「伸張反射ポーズ」をマスターするだけで、ピッチ、ストライドを向上させることができます。まずは下記見本をご覧ください。 これが、伸張反射ポーズを確認するためのドリルです、 伸張反射ポーズで意識する点は2つです。 ①骨盤の前傾と高さ ②足を前に置く

①骨盤の前傾と高さ

腰は、骨盤の前傾を維持しながらあげられる最大の高さを常に維持します。この腰の高さを意識することで反発を大きく受けられるようになり、接地時間が短くなります。設置時間が短くなるとストライド、ピッチが大きく向上します。この「腰の位置(重心)」と「骨盤姿勢」によって反発が生まれ、ピッチとストライドが向上するのですが、反発について詳しく知りたい方はこちらの記事を是非とも読んでみてください(ポチ反発記事の導線)。 前回の記事で記したように、骨盤を前傾したまま、自然とほんの少し爪先立ちになるくらいまで腰を高くあげます(この時骨盤の前傾は維持します)。するとお尻から腿裏までの筋肉がじわーっとストレッチされると思います。その位置をキープします。 この腰の高さをキープすることで、接地した瞬間の重力に耐えることができ、潰れなくなります。潰れないことで接地時間が短くなることでピッチを高めることができます。

②足を前に置く

足は肩幅くらいまで開きます。。そして、足は意識的に前に置くようにしましょう。腿裏の筋肉がストレッチされるように、くつ1足分前に足を進めてください。腿裏の筋肉がストレッチされることで、ゴムが引き伸ばされるのと同じように筋肉が勢いよく収縮するためのエネルギーがたまっていきます。勢いよく筋肉が発揮することで接地時間の短縮とストライドの向上に繋がります。 上記2点ができれば準備完了です。あとは腰から真上に上がるようにジャンプしてみてください。 そして体が空中に浮いている間もハムが伸びるように足のポジションと腰の高さを意識します。 うまくいくと、力を入れずとも自然と反発が帰ってきて弾むことができるのが分かると思います。

悪い例

上の例では、足が前に置けておらず、骨盤も前傾せず腰が落ちているので 上記の状態だと腿裏の筋肉が全くストレッチしません。 この状態で同じ様な動きをやろうとしても全く力が入りません。それどころか前ももに大きな 負担がかかり、膝の故障や肉離れにつながってしまいます。 タイムを磨く+怪我予防のために、この伸張反射ポーズを確認するという作業は非常に大事です。

2.ランジ→伸張反射ポーズのドリル

次は先ほど作った伸張反射ポーズを走りに近い動きで作っていくドリルになります。 まず自然にランジの姿勢を作ります。ランジから体を起こす時に、いつものランジのように戻るのではなく、「伸張反射ポーズ」を意識して起き上がってください。具体的には、骨盤の前傾を意識しながら、腿裏が軽く張るように腰から体を持ち上げていきます。 このとき、骨盤を軽く前傾させながら腰を持ち上げることを中心に意識しましょう。腰が持ち上がった時にハムが伸びているのを感じましょう。 同時に、走りの中のイメージをしながら行ってください。足を開いている時は空中にいる時で、伸張反射ポーズになっている時が接地した瞬間だとイメージしてください。自然とランジの動きをしながら、膝が重なるタイミングで瞬時に伸張反射ポーズになるよう、メリハリのイメージを持ちながら行いましょう。このメリハリのある動きは、ピッチとストライドを高めるために非常に重要なイメージになります。

3.腿上げを使った伸張反射反発ドリル

どんどん設置時間を短くしていきます。 今回の記事で最後に紹介するのは「腿上げ」です。 普段の腿上げの場合だと、足をさばいたり体をまっすぐにすることを意識すると思います。ですが今回の腿上げは全く別です。 今回の腿上げでは「伸張反射ポーズ」を意識して行います。動画ではわかりにくいかもしれませんが、この時「伸張反射ポーズ」を意識して腰を少し高くあげています。腿上げが自然に行えるくらいの前かがみを作るイメージです。 この時もハムが軽く伸びるように(実際はこの姿勢では伸びませんが)イメージをします。また、弾む時も腰から上にあがるようなイメージで弾みます。 足の高さや入れかえスピードなどは一切考えず、設置の時に「伸張反射ポーズ」ができるよう意識して行いましょう。いつもの腿上げよりも接地が短くなり、前に進んでいく感覚がわかると思います。

③まとめ

今回は伸張反射を使えるようになるドリル<基本編>について紹介しました。 今まで習ってきたものとは全く異なる視点だったのではないでしょうか。このような動きをしっかりと理解し、練習し再現性を高めることで、スランプ防止や脱出に繋げることができます。 走りの要素は簡単です。それはピッチとストライドです。いかにピッチとストライドを極めるのか?と言う簡単なゲームです。そしてこのピッチとストライドは、相互に打ち消しあうわけではありません。ピッチとストライドは正しい練習をすることで同時に伸ばすことができます。そのためには、ピッチとストライドはどのような身体の構造から生み出されるのかをしっかりと理解する必要があります。 私がたどり着いた「伸張反射を意識的に使う」も、ピッチとストライドを同時にあげる仕組みの1つです。他にも様々な要因がありますが、この伸張反射を使うことはかなり大きな根本的な要因であると私は考えています。 今回提供した練習の中から、自分に合うもの、感覚がつかみやすいものを選び、普段のドリルに少しずつ加えていき、継続して続けていただければ大変幸いです。
まとめ ・骨盤を若干前傾させる ・腰が落ちないよう釣り上げられる感覚で高く保つ ・足を半歩前において腿裏、お尻の筋肉を伸ばす
次回はより走りの動きに近づけた伸張反射ドリルを紹介したいと思います! それでは!

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