
①接地時の腕の位置はどこか?
②接地時の股関節の屈曲角度が鋭いか?
③4の字型か7の字型か
これら3つの観点について「速い走り」と「そうでない走り」を比較しながら、順を追って説明したいと思います!接地時の腕の位置はどこか?
接地した瞬間の腕の位置は非常に重要な指標になります。まずは以下の写真を見てください。

速いフォームの腕の位置
足が地面に接地した瞬間、肘が体の真横にしっかりときている&90°に折れている状態が最も良い腕の位置になります。右の学生と比べると一目瞭然です。右側の学生は完全に肘が遅れています。肘が遅れてしまう原因は何か?
接地時に肘を体の真横に持ってきたい時、以下の2つの方法が考えられます。 1.腕振りの切り替えを速くして接地する瞬間に肘が遅れないようにする。 2.腕振りのタイミングは変えず、接地のタイミングをワンテンポ遅くすることで肘が体の横に来るのを待って接地する。 この場合、実践すべき方法は2つめの方法です。 ・・・あれ?1じゃないの? そう思われた方が多いのではないでしょうか? 接地時の腕振りが遅れているのだから、腕振りを速くすれば良いんじゃないの?と思った方が多数だと思います。でも実は、腕振りが追いつていない人の多くの場合は、接地のタイミングが早すぎるために腕振りが遅れているケースが多いのが現状です。速くないフォームで走ってしまっている人のほとんどが、無意識的に自分から脚を振り下ろしてしまい、接地のタイミングが早くなってしまっているのです。その結果として、腕振りが遅れているというような見え方で、現象として現れてきます。 この腕振りをと接地のタイミングを見ることで、自分の接地のタイミングがずれている、つまり速く走れないフォームになっていることを一発で確認することができます。 よく皆さんが行う「腿上げ」という練習がありますが、走りの中で「腿上げ」のタイミングで地面を踏んでも速く走ることが出来ません。腿上げと走りの関係性について詳しく書いた記事があるので、より詳しく知りたい方は読んでください! https://test.spike-hikaku.com/2019/10/22/nottorunwithimageofmomoage/接地時の股関節の屈曲角度が鋭いか?
次に先ほどと同じ写真を、違う観点からのぞいてみましょう。以下の写真をみてください。
速いフォームの股関節の屈曲角度は鋭い
上の写真でもわかるように、Wayde Van Niekerk選手の走りは股関節の屈曲角度が鋭く、パワーを生み出すための準備ができています。一方で右側の学生は膝が落ち、体も起き上がっているため、股関節の屈曲角度が開いてしまっています。 速く走るために必要な「股関節の伸展動作」のパワーを最大限引き出すためには、この股関節の屈曲姿勢を作ることが非常に重要になります。立ち幅跳びで前に跳ぶ際、体を低くして屈むのと全く同じ原理です。この股関節屈曲姿勢は「パワーポジション」と呼ばれることが多く、このパワーポジションをいかにうまく作るかによって一歩あたりで引き出せるパワーの絶対値が大きく変わります。パワーポジションが作れる人の方が大きな力を発揮できます。股関節の屈曲角度が鋭くならないのはなぜか?
これの原因は、「脚を自分から振り下ろしてしまっている」ことです。上記の接地時の腕が遅れているように見える現象と全く同じです。 人間は体の構造上、地面に脚を接地しようとすると股関節の屈曲角度を解放し、膝を降ろさなくてはいけません。ですが、速く走るためには脚を自分から振り下ろしてはいけません。
4の字型か7の字型か
最後に、速いフォームとそうでないフォームの脚の軌道の違いについて説明させていただきたいと思います。まずは以下の写真をみてください!



速いフォームは4の字の軌道を描く
1枚目の写真をみてください。Wayde Van Niekerk 選手の脚の軌道は「4の字」になっています。一方で右の写真の学生は「7の字」を描いています。 続いて2枚目の写真をみてください。この写真は、地面から脚が離れた直後の写真です。みてわかるよう、「4の字」の軌道を描けているスプリンターは、足が地面から離れたとき、後ろにある脚の前後の開きが狭く、膝が曲がったまま離地しているのがわかります。「7の字」の軌道で走る人は、前後の開きが大きくなり、膝が一直線になっているのがわかります。 「4の字」「7の字」という比較、議論は多くの場でされているテーマです。いろんな意見がありますが、私は「4の字型」のフォームで走れるスプリンターは速いという見解を提示します。なぜ速いフォームだと4の字の軌跡を描くのか?
4の字型と7の字型の大きな違いは「股関節伸展のスピード」です。つまり、地面に力を伝える瞬発力が高いと4の字型になり、低いと7の字型になってしまいます。なので、4の字型になっているのかいないのか?を見ることで自分が速くなっているのかなっていないのかという判断ができるようになるということです。 下図が軌跡の違いが生まれる原因を図解したものです。

まとめ
今回は、大きく分けて3つの着眼点で「速いフォーム」と「そうでないフォーム」の見分け方を紹介してきました。本日紹介した「速いフォーム」を参考に、自分の走りを再確認してみてください。そして、いろんな選手と比較してみてください。誰一人として同じフォームで走る選手はいませんが、速い人のフォームには必ず共通点があるはずです。それを見つけられれば、練習の打ち込み方や目指す方向性がより深掘りされるでしょう。 後日談ですが、今回記事の中で紹介した11.1台だった学生は、3つの着眼点を軸にそれらを克服するための練習をしっかりと考えて取り組んだ結果、11.1→10.7までタイムをあげることができました。その時の写真が以下です。



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