1.スタミナとは? 2.「代謝経路」について理解するメリット 3.代謝経路の種類 4.各代謝経路の関係性について 5.まとめ
車は、走行をするために「ガソリン」という燃料を「エネルギー」に変換し、そのエネルギーを車輪に加えることで前に進みます。そして優れた車ほど、「ガソリン」を効率よく「エネルギー」に変換する仕組みを持っており、スピードと燃費を高いパフォーマンスで実現することができます。 
①スタミナとは?運動に必要なエネルギー源
車が走るためには「ガソリン」が必要です。では、人間が動くためには何が必要なのか?人間のエネルギー源について知っている方はいるでしょうか? 人間のエネルギー源、それはズバリ「ATP・・・アデノシン三リン酸」と呼ばれているものです。もっと詳しく説明しましょう。

②「代謝経路」について理解するメリット
ここから代謝経路について説明をしていくのですが、その前に、この代謝経路について学ぶことが今後の陸上競技人生においてどのようなメリットがあるのかを説明します。 人間には、運動の強度や時間によって、全く異なる「代謝経路」によってエネルギーが引き出されていることが研究によってわかっています。つまり、全力で短時間の運動をする短距離やフィールド種目、そこそこ高い力で動き続ける中距離、低い出力で長期間の運動を続ける長距離、それぞれの場合で全く異なる「代謝経路」が使われいます。そしてこれらの「代謝経路」のトレーニング方法は全く別のものになります。つまり、練習の段階で、自分がどの種目で、どの「代謝経路」を高めなければならないのか?そのためにどのような練習をしなければならないのか?全て変わってきます。 この記事で「代謝経路」を理解していただくことで、今後の練習の組み立てや、効率の良いメニュー開発を行っていただくことで、競技力最大化に繋がります。③代謝経路の種類

ATP-CP系
ATP-CP系は、ATP(アデノシン三リン酸)の分解(高エネルギーリン酸結合の分解)によってエネルギーを生み出し、供給を行う代謝経路です。 いろいろ難しい伝え方になってしまいごめんなさい。要は、ATPという物質が体の中に蓄積されていて、それらを分解するときに発生するエネルギーによって体を動かす仕組みです。ATPを分解しながらエネルギーを作るので、ATPが無くなっていくにつれエネルギー供給が弱くなっていきます。そこで最近注目されているのが「クレアチン」です!クレアチン、詳しくいうと「クレアチンリン酸」は、分解されたATPを、再結合して修復する役割を持っています。ATPが復活する分、このATP-CP系という代謝経路の効果を長続きさせることができます。要は、枯渇したエネルギー源を再び作り出してくれると言うことです。
解凍系
続いて紹介するのは解糖系です。筋肉を動かすために必要なATPですが、運動直後に発揮されるATP-CP系の代謝経路によって消費されてしまうことを先ほど説明させていただきました。体のATPがなくなってきたとき、身体の中ではこのATPを再合成しようとする動きが働きます。そのうちの一つがこの「解糖系」です。解糖系は、身体の中に蓄積された「グルコース」、つまり純粋な「糖(ブドウ糖)」を分解し、ATPを再合成する供給系です。「走る前に炭水化物をとってエネルギーを補給しましょう」とよく言われるのは、この解糖系のエネルギー供給に必要な「グルコース(糖)」を補給するためです。中・高校での理科で習った「消化酵素」の授業などで習ったのを覚えているでしょうか?炭水化物、いわゆる「デンプン」は唾液などの消化酵素によって「グルコース」に分解されます。「グルコース」は血液の中に漂うことで体の中に蓄積されます。この「グルコース」を「解糖系」と言う供給経路によってATPへと再合成、その後ATPを分解したときに発生するエネルギーで筋肉を動かすと言うメカニズムです。グルコースからATPを再合成するプロセスについてより詳しく知りたい方は、こちらのサイトを見てみてください!かなり丁寧にまとまっています!長いので本当に興味のある方だけみてみてください!笑 出典: http://www2.huhs.ac.jp/~h990002t/resources/downloard/15/15biochem3/02sugarcatabolism_1_15.pdf
酸化系
ATPが枯渇、グルコースも枯渇、あるいはATP-CP系や解糖系を使うほどの運動強度がない運動が長時間続く場合、どのようにしてエネルギー源であるATPを生み出すのでしょうか? 実は、私たちが無意識に行なっているある行為が「ATP」を生み出しているのです。それは「呼吸」です。呼吸によって体内に供給された「酸素」によってATPを作り出し、エネルギーに変換します。このような代謝経路を「有酸素系」と言います。 得られた酸素によってATPを生み出す機能を「細胞呼吸」と言います。高校生の時に「生物」の授業を取っていた人はお馴染みかもしれませんね。細胞内にあるミトコンドリアという機関で酸素が取り込まれ、グルコースのような栄養分子を酸化させる事によって二酸化炭素と水に分解し、ATPをエネルギーとして放出します。 酸化系は、運動開始直後から20秒ほどでだんだんと供給の貢献度が高くなり、その後徐々に供給量をあげながら、呼吸によって得られた酸素からエネルギーを作り、供給し続けます。 しかし、この酸化系によるATP合成は、解糖系などに比べて大きなエネルギーを供給することが出来ないため、強度が低く、継続時間の長い運動の時に非常に必要になります。 つまり、長距離走の選手などはほとんどのエネルギー供給をこの「酸化系」によって行なっていることになります。④各代謝経路の関係性について
前節でお話した、代謝経路の「エネルギー供給の貢献度」を縦軸に、「時間」を横軸にまとめたのが以下の図です。ここからは、代謝経路がどのように変わっていくのかについてご説明します!
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